New-STANDARD会津若松インタビュー.vol 03. 食編

Uターン移住者インタビュー

一度会津若松を離れたからこそ気づく魅力、先人が受け継いできた「変わらない」会津とは。

 

―農産業と飲食業という“食”の業界で生きるお二人ですが、お仕事をされる上で大切にすることはなんですか?

 

武藤さん)

一番大事にしていることというか、信念としては「トマト嫌いな子供たちが普通に食べられるミニトマトを作ろう」と思って作っていますね。

僕はミニトマト大嫌いなんですよ。

 

野崎さん)

そうなんですか!?

 

武藤さん)

そう、あんまり食べなかったんですよ。妻や子どもは大好きなんですけど、僕が全然好きじゃなくて。そんな自分でも、「普通にもう1個食べられるな」っていうくらいのクオリティまで上げていけば、僕と同じくトマトが嫌いだった子どもたちも少しずつ減っていくのかなと思って作り始めたのがきっかけでした。

 

今は給食センターに卸したりもしていて、うちの子どもの同級生や保護者の方から

「トマトが苦手だったのに、うちのミニトマトだったら食べれる」という声をいただけるのが、作っているやり甲斐ですね。

 

野崎さん)

ちょっと一つ食べてみて良いですか?

(実際にミニトマトを試食)

美味しい、やっぱり違いますね。

 

武藤さん)

ありがとうございます。

串とかで焼いても味が乗るので、ぜひ。

 

野崎さん)

ぜひやってみたいですね。

ウチの店でも、仕入れはある程度市内から食材を仕入れようとしていて。

なるべく思うのは、せっかく会津若松に住んでいるんだから、できれば会津全体が良くなればいいなと常に考えています。

だからウチでは、県内の日本酒しか扱わないし、なるべくなら周りの皆が良くなるようと思って仕入れをするようにしてます。

 

 

―食という視点で、会津若松の魅力を感じることはありますか?

 

野崎さん)

美味しい野菜とか米が作れるっていうのは、やっぱり水がいいからだと思ってます。

水と土は、やっぱり会津若松は良いと思いますね。圧倒的だと思います。

 

武藤さん)

そうですね。会津若松市内って、そもそも風土的に野菜も果物も花も米も全部育ちやすい環境なので、他の産地に比べてもやっぱり味が全然違う。

いろんな産地に行ってミニトマトの研修を受けたりしたんですけど、やっぱり会津若松は違うなと。

 

 

―具体的に、どんなところに違いを感じますか?

 

武藤さん)

やっぱり会津藩時代から、農家の人たちがいろんな試行錯誤をして、会津農書みたいなものもつくって、土と水に対しての思いやりの考え方を持って作物を育ててきたルーツがあるから、今の恩恵を僕たちが受けているのかなと感じます。

今、普通になんなく野菜が作れているのは多分、先祖の人たちがここの風土・気候に合った栽培方法を確立してくれたからかなと。

なので、会津若松は何を作っても旨くなる土になった、という印象はありますね。

 

―武藤さんはUターンで会津若松に戻られたとお伺いしました。戻ろうかなと思った時と、実際に戻ってみた後で、心境の変化・ギャップはありましたか?

 

武藤さん)

戻ってくる前と戻ってきた後で、やっぱり不便だなって思うことはありますね。

服や日用品を買う選択肢が限られるので、あまりバリエーションが無かったり。

ただそれくらいは別にしょうがないかなっていう感覚もあって、

逆に都会は都会でやっぱり自然がないので、子どもたちを遊ばせる公園も少なくて。

 

野崎さん)

土が踏めないですよね。

 

武藤さん)

そう、アスファルトばっかり。小さい公園に行っても、子どもの数と遊具の数が合ってないから、なかなか乗れなくて。そういう状況もあるので、良いところも悪いところもそれぞれ当然あると思います。

住めば都なので、多分どこに行ったとしても同じかなと。

あと、一回出ると会津若松の良さがわかる。

一度会津若松を出たおかけで、良いところに気づけて良かったなっていうのは思いますね。

 

野崎さん)

「昔よりも、こんな良いところが出来た」という変化だけじゃなくて、むしろ「昔と変わらないから良い」という所、変わらない力ってあると思います。

会津の人って、ちょっと引っ込み思案なところもあるけれど、でも、それで逆にギスギスしない文化っていうのもあるし。子どもの頃にここで育ってきた方だと、大人になってからも居心地が良いのかなとは思いますね。

帰ってきたい同級生とかもいっぱいいるだろうけれども、いろいろ仕事の不安とか、子育ての不安とかもあって、どうしても一歩踏み出せない人も多いと思います。

ただ、踏み出しちゃえば案外楽ですよね。

 

武藤さん)

そうですよね。Uターンをしようとする人にとっては、全然別な地域に住むよりは楽じゃないかな。やっぱり近所の人たちもいるし、昔ながらに知ってる同級生や先輩方もいれば、なおさら帰ってきやすいと思います。

今は就職がしやすい環境も整ってきているし、市の補助も手厚いので、移住相談で市役所を訪ねるとか。

あとは、やっぱり会津と首都圏とでは物価が違うのも特徴ですよね。

会津若松に来て給料が安くなるから嫌だっていう、若いお父さんお母さんいると思うんですけど、そういう人たちも結局物価が安いんで、それはありがたいんですよね。

意外となんとかなるし、飲食店さんもサービスいろいろしてくれると思うので(笑)。

 

野崎さん)

それはもう間違いない。手厚くします(笑)。